アンモニア燃焼で窒素酸化物NOxが生成するメカニズムとNOx生成対策について解説

アンモニアについて
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カーボンニュートラルで注目されるアンモニア燃料にとって切り離せないのが燃焼させた際に出る窒素酸化物です。窒素酸化物は人体に有害な物質であることや、光化学スモッグや酸性雨の原因になることから、環境基準や自動車の排出ガスの規制の対象となっています。

規制値については環境省の下記サイトで確認できるので興味のある方は見てみてください。

参考URL:環境省「ばいじんとNOxの排出基準値一覧」

今回は、アンモニア燃料と有害な窒素酸化物の関係について解説して行きます。

この記事を読めば、アンモニアの燃焼によってどのようにNOxができるのか、またNOxを減らす方法はどのような方法があるかについて理解することができます。

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アンモニアの燃焼と窒素化合物における研究例はそこまで多くない

燃料としてのアンモニアが研究対象として活発化しているのは、カーボンニュートラル社会の実現に向けて世界が動き出したここ数年のことです。そのため、これまでの主な研究テーマは、燃焼安定性や燃料消費率である場合が多く、これまで燃焼生成物に注目した研究はあまりされてきませんでした。

実用化が視野に入ってきたことで、燃焼生成物である窒素化合物についての研究も行われるようになってきました。この記事では、アンモニア燃焼と窒素化合物について行われてきたこれまでの研究成果について簡単に要点をまとめていきます。

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アンモニアから出る窒素酸化物NOxは燃料由来

ガソリン・天然ガスなどの燃料から出る窒素酸化物はサーマルNOx

これまで燃料として利用されてきたガソリン・天然ガスなどの炭化水素燃料には窒素化合物がほとんど含まれていないです。そのため、燃焼した際に出る窒素酸化物NOxは、大気中の窒素が燃焼による高温にさらされることで反応し、生成する「サーマルNOx」で説明されるのが一般的でした。

参考文献:Heywood, J. B., Internal combustion engine fundamentals (1998), McGraw-Hill.

アンモニア燃料から出る窒素酸化物はフューエルNOx

アンモニア燃料を燃やした際に出る窒素酸化物NOxは、アンモニア(NH3)に含まれる窒素の一部が燃焼する過程でNOになる「フューエルNO」で説明されます。

アンモニアが燃焼の過程でどのようにNOxに変化していくのかを次の章で解説します。

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アンモニアが窒素酸化物NOxになる過程

アンモニアが燃焼したら水と窒素だけができるわけではない。

ここからは一応、簡単にお話ししますが、中間反応の話が入ってくるので難しい人は次の段落まで読み飛ばしても構いません。

実は、アンモニアが燃焼(酸化)して水と窒素になるという化学反応を考えた時、アンモニアがいきなり酸素と結合して水と窒素になるわけではありません。実際に、アンモニアを燃焼させた時には、アンモニアはいろいろな反応の過程を経て、水、窒素、窒素酸化物に分かれていくのですが、その中のメインとなる反応だけを抽出して表してい流にすぎません。今回は、窒素酸化物についての生成過程を見ていきたいので、メイン以外の反応についても知る必要があります。

アンモニアが燃焼してNOxになるまでの過程3ステップ

アンモニアと空気の予混合燃焼(予めしっかり混ざった状態で燃焼させる方法)では下記のステップでNH3がNOになります。

Step1. OHラジカルによって 「NH3 ⇨ NH2」 になる

Step2. 「NH2(NHも)」が二つの反応経路「 HNO 」となるルートと「 N2H2 」となるルートに分かれる
「 HNO 」は最終的に「 NO 」になるルート、「 N2H2 」は最終的に「 N2 」になるルート

Step3. 「 HNO」がOHと反応し、 「 NO 」が生成

ここで重要なのが、最終的にNOになるStep2.の NH2 が HNOになるルートです。

NH2がHNOルートに行くためにはNH2の近くにOやOHが存在していることが条件となります。

つまり、「NH3が空気と予混合燃焼した場合にNOが生成しやすいのは、OやOHが多く存在している条件」ということになります。

参考文献:SIP終了報告書「アンモニア燃焼の基礎特性の解明と基盤技術開発 東北大学 小林秀昭」
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アンモニア燃焼で窒素酸化物を減らす対策

対策①:アンモニア燃焼の窒素酸化物NOxは燃料多くすることで減らせる

上記で解説した通り、NH3と空気の予混合燃焼について窒素酸化物NOの生成を減らしたい場合は、「燃焼させる時にOやOHが少ない条件で燃焼させればよい。」ということです。

言い換えると、アンモニアが空気と過不足なく燃える場合の条件をストイキ燃焼と言いますが、ストイキ燃焼に比べて空気が少ない条件、すなわちアンモニアが多い条件で燃焼させることで窒素酸化物の生成を抑えることが可能となります。

対策②:高圧下でアンモニア燃焼させることで窒素酸化物NOxを減らせる

燃焼時の圧力を高圧にすることで窒素酸化物を減らす方法もあります。反応時の圧力が大きくなるとラジカル再結合によって、H, O, OHラジカル濃度が相対的に低下します。

イメージとしては、NO生成の原因となるO,H,OHラジカルが他の反応でも使われてしまうため、NO生成ルートに関わることのできるOが少なくなるようなイメージで良いかと思います。

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