アンモニア燃料の課題とは?アンモニアが普及しない理由4つ

アンモニアについて

これまでアンモニアがカーボンニュートラルな燃料として期待されていることについて解説してきました。

カーボンニュートラル燃料としてアンモニアが注目される理由3つ

しかし、実はアンモニア燃料がなかなか普及しないのはまだまだ課題があるからです。今回は、アンモニア燃料の課題について解説していきます。

この記事を読めば、アンモニア燃料にどんな課題があるか理解することができるでしょう。

アンモニア燃料普及の課題は大きく分けて4つ

アンモニアの燃焼特性の課題

実はアンモニアは燃えにくい

アンモニアは従来の燃料である都市ガスや石炭などに比べると、最小着火エネルギーが大きく、燃焼速度が遅いため、着火しづらく燃えにくい燃料となっています。

アンモニアが燃料として普通に使われるようになるためには、この着火しづらく燃えにくい点を改善しなければなりません。

そのため開発者は、まずは混焼からスタートし、徐々にアンモニア100%の専焼に移行していく形が理想となります。実際、経済産業省エネルギー庁が発表している情報では、直近は混焼の目標値が掲載されています。

アンモニアの燃焼特性についてもっと詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

【保存版】アンモニア燃料とその他燃料(メタン・水素・プロパン)の燃焼特性(物性値)一覧表

アンモニアを燃やすためにさまざまな研究開発が進められている

上記のようにアンモニアは燃えにくいため、より簡単に低コストで燃やすための方法が日々研究されています。

代表的な事例をいくつかご紹介しておきます。

IHI液体アンモニア100%燃焼によるCO2フリーガスタービンの開発を開始

IHI株式会社は、液体アンモニア100%燃焼を目指したガスタービンの開発で国の事業に採択されています。液体アンモニアは燃焼性が低いため火炎の安定性が課題となっており事業規模は92億円を想定しています。

株式会社トヨタエナジーソリューションズ アンモニア100%で300kWマイクロガスタービンの発電に成功

株式会社トヨタエナジーソリューションズは、アンモニア専焼で300kWマイクロガスタービンでの発電に成功しています。こちらもSIPという国のプロジェクトで実証されたものになります。

こちらはまず都市ガスで起動して、徐々にアンモニアの比率を高めることで成功していますが、できれば軌道からCO2を出さずに発電できると理想的と言えますね。今後に期待です。

アンモニアの製造方法の課題

アンモニアの工業的生産方法「ハーバーボッシュ法」は100年間ずっと変わらず

アンモニアの製造方法は、1906年に発明されたハーバー・ボッシュ法からこれまでずっと変わっていません。発明された当時は「空気からパンを作る方法」として100年間世界中のアンモニアの生産を支えてきました。

日本最大の化学ポータルサイトChem-Stationより引用

ハーバ・ボッシュ法は高温・高圧の過酷な条件でアンモニアを製造する

ハーバ・ボッシュ法は窒素と天然ガスなどから作られた水素から製造しています。鉄系触媒の存在下で高温・高圧の条件を作ることで効率的にアンモニアを製造します。

詳しく知りたい方はWikipediaで解説されているのでぜひ、見てみてください。

Wikipedia:ハーバー・ボッシュ法

ハーバー・ボッシュ法の課題

ハーバー・ボッシュ法の課題は、主に二つあります。

一つ目は、原料としている水素ですが、水素は天然ガスから製造しているため、アンモニア自体を燃やしてもCO2は出ませんが、そのアンモニアを製造する過程で大量のCO2が排出されてしまいます。

二つ目は、高温・高圧という厳しい環境下による高コスト化です。この高温・高圧を保つための設備は当然高くなりますし、その条件を作り出すためにかかるコストも甚大です。そのため、アンモニアの生産は1ヶ所集中での大量生産は基本。ということになるので、アンモニアを利用したい場合は、大量生産している箇所から船などで輸送しなければならないなどの課題が副次的に生じます。

アンモニアのハンドリングの課題

アンモニアにはハンドリング、すなわち取り扱いの課題もあります。

アンモニアは劇物に該当し、皮膚などに触れると皮膚が受傷してしまったり、目に入ると失明の危険性があります。それゆえに、取り扱い者は、正しく取り扱う必要があるため、専門の知識と定期的なメンテナンスが必要です。

例えば、乗用車にガソリンを入れた場合、そのまま放置していても特に問題になることはありませんが、アンモニアをガソリンのように乗用車に入れた場合、定期的に点検などが必要になることが予想されます。

これを踏まえると、アンモニアは一般人というよりは産業用途で徐々に普及していくことが考えられますね。

↓アンモニアの人体への影響や許容濃度については下記記事で解説しています。

【作業場・職場の安全対策の参考に】大気中のアンモニアNH3許容濃度

アンモニアの後処理の課題

アンモニアを燃焼した際に生じる窒素酸化物NOx

アンモニアを燃焼させた場合、窒素酸化物を生成します。窒素酸化物いわゆるNOxは、大気汚染物質に指定されている有害物質になります。このNOxをいかに抑えるか?というのが課題となります。

ガソリン車やディーゼル車でも年々規制は厳しくなっており、抑制技術や触媒コンバータの性能も向上してきているのですが従来のNOxとアンモニアが燃焼した時に生じるNOxは発生要因が厳密には異なるため、生成の抑制にも力を割く必要があります。

アンモニアの燃焼によって窒素酸化物が生成されるメカニズムについては下記の記事で解説しています。ご興味のある方はぜひご参考にしてください。

アンモニア燃焼で窒素酸化物NOxが生成するメカニズムとNOx生成対策について解説

NOxの抑制技術の動向

2020年度のNEDOの成果報告によると、火力発電におけるサーマルNOxの抑制には二段燃焼技術などの技術に期待しているようです。フューエルNOxについては構造を工夫した低NOx型バーナーや脱硝装置の技術で抑制していくとの記載があり、今後も目が話せない分野になると思います。

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