ブローバイガスによるアンモニア燃料エンジンの想定される課題

エンジニアの技術メモ

アンモニアが燃料として認知され始めたということは、定置発電用のエンジンや自動車などの移動体のエンジンの燃料にもアンモニアが使われる可能性が出てきたということです。

ということは、普段当たり前のように使われているエンジンの技術をアンモニアに適用した場合、何か良くない点や注意点が出てくるはずでは?と思いついたので、今回は、ブローバイガスがアンモニア燃料エンジンで発生した場合に起こりうる問題点について解説していきたいと思います。

この記事を読めば、ブローバイガスとは何か?そしてアンモニアを燃料としたエンジンを考えた際にブローバイガスによって考えられるリスクについて理解することができます。

カーボンニュートラル燃料としてアンモニアが注目されている理由については下記記事で解説しているので、ご興味のある方はご一読ください。

カーボンニュートラル燃料としてアンモニアが注目される理由3つ

ブローバイガスとは?

ブローバイガスとは、エンジンのシリンダーに供給されたガスのうち、エキゾーストマニホールドからではなく、ピストンの隙間からクランクケースに流れ込むガスのことを指します。

一般的には、シリンダーに入ったガスは、燃焼し、燃焼で生成したガスも、燃焼に使われなかったガスもエキゾーストマニホールドを通じて、マフラーから排気されるとして理解されています。

しかし、一部エキゾーストマニホールドに入らず、ピストンの隙間からクランクケースにガスが漏れて入り込んでしまうのです。

クランクケースに入ったガスをそのまま放置しておくと、エンジンの外に漏れ出てしまう恐れがあるので全ての車両のエンジンはクランクケースとインマニなどの吸気系を接続し、クランクケースに入ったブローバイガスをもう一度燃料としてシリンダーに供給するシステムとなっています。

自動車用語辞典より引用

ブローバイガスについての詳しい説明は下記のサイトをご参考にして頂けると良いでしょう。

参考サイト:ブローバイガスとは何?排気ガスと何が違うの?

ブローバイガスによるアンモニア燃料エンジンの想定される課題3つ

ここからはブローバイガスによって想定されるアンモニア燃料エンジンの想定リスクを考えていきます。

私が思うに想定されるリスクは下記の三つです。

課題①:クランクケースのアンモニアが吸気配管から漏れ出す

上述した通り、クランクケースと吸気配管は繋がっているためエンジンが回転している間はエンジンのシリンダーにブローバイガスが流れ込んでいくので問題はないのですが、停止したときなどエンジンの回転が止まっている時にクランクケースに残ったアンモニアが吸気配管の入口(=エアスロットル)から漏れ出てきてしまう危険性です。

アンモニアは法律では、硫酸などと同じく劇物に該当しますので、外に漏れ出してしまっては大変ですね。

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課題②:クランクケース内でエンジンオイルにアンモニアが溶け、オイル交換時など危険

アンモニアが水に溶けやすいことはみなさん中学校の理科で習ったのではないでしょうか?

当然、エンジンオイルにも水ほどではないですが、若干量溶けることが予想されます。少々の量であればよっぽど溶けないはずですが、クランクケース内が高濃度のアンモニアで満たされていた場合、多少はエンジンオイルにアンモニアが溶けてしまうことが想定されます。

エンジンオイルの物性が変わってしまうほどの溶け方はしないと思いますが、例えばエンジンオイルが漏れたり、エンジンオイル交換作業時には、アンモニアが溶けているかもしれないオイルに接触する可能性があるので注意が必要です。

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課題③:メンテ時にエンジンを開けた際、アンモニアが漏れ出す

クランクケース内のアンモニアが、オイルに溶けない、外に漏れ出さない、とすると、クランクケースすなわち吸気菅にアンモニアのブローバイガスが残っていることが想定されます。

この場合、もしエンジンのメンテナンス時などにエンジンを開ける作業があるとすると、開けた際に吸気管に残ったアンモニアが漏れ出す懸念があると思います。

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最後に

今回は、アンモニア燃料のエンジンにおけるブローバイガスの課題について言及しましたが、これは想定される課題でありそれ以上の課題がもしかしたらあるかもしれません。

今回挙げた課題については対策など行なっておけば問題ない可能性が高そうです。基本はメンテなどの作業者に対するリスクなのでメーカが管理対策をしっかり実施しておけば、安全に運用することも可能なのではないでしょうか。

その前にアンモニアを燃焼させるには超えなければいけないハードルがまだまだあるので、今後に注目です。

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