今回は、アンモニアが燃料として注目されている理由について解説していきます。
この記事を読めば、なぜカーボンニュートラル実現の燃料としてアンモニアが注目されているかを理解することができます。
アンモニアが燃料として期待されている理由3つ
①CO2フリー燃料として利用できる
アンモニアが燃料として期待されている理由は、CO2フリー燃料として利用可能だからです。
アンモニアの化学式はNH3であり、アンモニアが燃焼する場合の化学反応式は
NH3 + O2 ⇨ N2 + H2O
となり、燃焼しても窒素と水しか生成しません。そのため、既存の火力発電などの設備で燃料として利用すれば、現在 CO2排出量の多くを占めている火力発電におけるCO2排出量をゼロにすることが可能となる点が利点として挙げられます。
完全にアンモニアのみで燃焼させる発電の研究も進められていますが、アンモニア燃焼しにくいため、まずは石炭火力にアンモニアを20%混焼する実証実験が進められています。
経済産業省の試算によれば、既存の石炭火力がアンモニアの混焼20%に移行した場合、下記の通り、年間4000万トンのCO2排出量を削減可能となっています。
石炭火力にアンモニアを20%混焼する実証実験が進められています。

②既存のサプライチェーンが利用できる
アンモニアは、農業分野の肥料や化成品としてすでに流通しており、サプライチェーンの構築がすでにできているため、実用化した場合にも既存の安全対策やガイドラインを適用可能です。

設備についてもすでにある設備と同様の設備を導入する、もしくはそのまま利用することで初期投資を抑えることが可能です。
ゆえに、アンモニアを燃料として供給するための供給網が出来上がっているため水素よりも実用化に近いと考えられています。
③発電コストが安い
アンモニアを燃料とした場合、発電コストがかなり安く済みます。
こちらも経済産業省 エネルギー庁が事業者ヒアリングや富士経済社の文献から紹介しています。
仮に、アンモニアのみを燃やす専焼とした場合、発電コストは23.5円/kWhと算出されています。一方で水素のみの水素専焼で発電した場合の発電コストは97.3円/kWhとなっていおり発電コストは約1/4程度となっています。

内訳を確認すると、発電設備にかかるコストは水素に優位性があるのですが、輸送費がやはり水素の場合はかなり高くついてしまいます。これは前回の記事の中に詳細が記載してありますので、ご興味がある方は下記の記事を見て頂けるとさ幸いです。
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