

この記事では、回転数とトルクの関係性について触れ、回転数とトルクから馬力(=パワー)を計算する方法について解説していきます。
トルクについて知ろう
トルクとは何か?
トルクについてまずは簡単に説明すると
トルク = 回転させようとする力
まずは、この理解でいいでしょう。高校で力学を習った方であれば、力のモーメントをイメージしてもらえるとわかるのではないでしょうか。
トルクという言葉が出てくるのは、やはりエンジンやモータではないでしょうか?例えば、車のタイヤで考えた場合、タイヤの中心から接線までの距離と接線方向(=タイヤの進行方向)の掛け算でトルクを計算することができます。
トルクの単位は、kgf・mとなっています。kgfとは、質量の単位であるkgを重さ、力の単位に換算したものになっています。詳しくは下記のサイトにわかりやすく載っているので参考にしてみてください♩
スガツネ工業株式会社HP:kgとkgfの違い
トルクと回転数の関係


実は、トルクと回転数は両立しないことが多いです。
まずは、感覚的に理解しましょう。先ほど、トルクはタイヤで考えた場合、タイヤの中心から接線までの距離と接線方向(=タイヤの進行方向)の掛け算でトルクを計算することができると説明しました。
つまり、タイヤを回転させるための動力源を同一のもの(同じパワーのもの)を使用する場合、トルクを大きくするにはタイヤの中心から接線までの距離を大きくすれば良いのですが、これをすると、タイヤ自体が大きくなってしまいます。つまり同じパワーで大きくなったタイヤを回転させる場合、トルクは大きくなりますが、回転数は下がってしまいます。自転車で自分が進むときに大きいタイヤと小さいタイヤどちらをたくさん回転させることができるかをイメージしてもらえれば良いと思います。
よって、エンジンで考えた場合、シリンダ内のピストンの上下運動が大きくなるようなエンジンの方がトルクは大きくなり、回転数は小さくなります。逆に、シリンダ内のピストンの上下運動が小さくなるようなエンジンでは、トルクは小さいが回転数は大きくなるということです。
馬力(=パワー)について知ろう
馬力とは何か?
馬力を簡単に説明すると、トルクと回転数の積で計算可能な値で、言い換えればパワーのようなものです。
高校物理を学習してきた人向けにもう少しだけ専門的にいうと、単位時間当たりの仕事量を表す単位として馬力が使われます。
馬力(=パワー)は トルク✖️回転数 で計算可能
馬力の計算方法は至ってシンプルで、
馬力 = トルク ✖️ 回転数
で計算することが可能です。要するに、馬力が大きいクルマほど、パワーがあるクルマということになります。
↓馬力と出力の違いや、出力の計算方法については下記の記事で解説しているので興味がある方はみてみてください。
クルマの性能で重要なのは、馬力よりトルク
馬力はそのエンジンのパワーを示すわかりやすい指標としてよく用いられていますが、エンジニアの方や詳しい人はあまり出力よりもトルクと回転数の関係の方を気にする場合が多いです。
なぜなら、トルクが大きくて回転数が小さいクルマ と トルクが小さくて回転数が大きいクルマ の両方がそもそもあるのは性能の面でわざと用途に応じて差をつけているためです。
例えば、トルクが大きい車は加速性能に優れているため、発進時などはとてもスムーズです。一方で、かなり回転数を上げていかないと、最大トルクに到達しないという面があります。
逆に、トルクが小さい車は、発進時はトルクの大きい車に比べて鈍いですが、回転数が上げれば早く最大トルクまで到達することができるため、高回転を維持できれば常に最大トルクを得られるという利点があります。
なので結局は馬力というよりは、トルクと回転数から決まる走行性能でエンジンやモータを選ぶというのがエンジニアとしては基本となります。